しかしこのルールのおかげで、銀行に再生できる会社も再生できないと判断されてしまう事がたまに起こります。
私がこれまで遭遇してきたものから一つ簡単な例を挙げてみましょう。
A社は、直近の貸借で次のように資産計上分の負債を抱え資本ゼロになっていました。
<直近BS>
売掛金 50 買掛金 50
不動産 50 借入金 50
資産合計100 負債合計100
資本の部 0
ただし実態で見ると
・売掛金50は全額焦げ付いている
・不動産は全て借入金の担保に差入れているが、時価は50以上あり担保割れはない
であり、実質債務超過▲50の状態(↓)でした。
<実質BS>
売掛金 0 買掛金 50
不動産 50 借入金 50
資産合計 50 負債合計100
資本の部▲50
A社は黒字に転換していましたが、今後事業によって見込まれる利益は年間5程度。つまり、債務超過解消に要する年数は10年(50÷5)ということで、破綻懸念先以下に分類されてしまいました。
ただし、A社ではすでに仕入業者から買掛金の支払いについて協力を約束してもらっており、銀行返済のことを除けば資金繰りに支障はない状態。今後、不動産売却を進めていけば、金利を支払いながら3年程度で借入金を完済できる、つまり3年後は無借金という計画が可能でした。
このA社の一体どこが破綻していると言うのでしょうか?
社長
「不動産を処分してこれから3年で全て返済しますので、リスケに応じてください。」
銀行担当者
「お話は分かりますが、債務超過の解消に10年近くかかりますので、応じられません。」
社長
「私は10年後の話なんかしてませんよ!」
ほとんど笑い話みたいですが、実際に現場では、このレベルの問題で社長が頭を抱えることがあります。社長からすれば、返済計画を具体的に説明したのに、ワケの分からない話で煙に巻かれた、といったところでしょう。
企業再生では、債権回収というものをよく知っている銀行担当者にあたった方がかえって会社は助かる、という一面もあります。ふたを開けてみれば、返せるか、返せないかというシンプルな問題ですから。



