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2007年09月28日

マニュアルの弊害?(債務超過解消年数)

金融検査マニュアルは、債務超過を5年以内に解消できることが債務者区分を破綻懸念先以下に落とさない目安にしています。
しかしこのルールのおかげで、銀行に再生できる会社も再生できないと判断されてしまう事がたまに起こります。

私がこれまで遭遇してきたものから一つ簡単な例を挙げてみましょう。

A社は、直近の貸借で次のように資産計上分の負債を抱え資本ゼロになっていました。


<直近BS>
売掛金  50  買掛金  50
不動産  50  借入金  50
資産合計100 負債合計100
          資本の部  0


ただし実態で見ると

・売掛金50は全額焦げ付いている
・不動産は全て借入金の担保に差入れているが、時価は50以上あり担保割れはない

であり、実質債務超過▲50の状態(↓)でした。


<実質BS>
売掛金   0 買掛金  50
不動産  50 借入金  50
資産合計 50 負債合計100
          資本の部▲50


A社は黒字に転換していましたが、今後事業によって見込まれる利益は年間5程度。つまり、債務超過解消に要する年数は10年(50÷5)ということで、破綻懸念先以下に分類されてしまいました。


ただし、A社ではすでに仕入業者から買掛金の支払いについて協力を約束してもらっており、銀行返済のことを除けば資金繰りに支障はない状態。今後、不動産売却を進めていけば、金利を支払いながら3年程度で借入金を完済できる、つまり3年後は無借金という計画が可能でした。


このA社の一体どこが破綻していると言うのでしょうか?


社長
「不動産を処分してこれから3年で全て返済しますので、リスケに応じてください。」


銀行担当者
「お話は分かりますが、債務超過の解消に10年近くかかりますので、応じられません。」


社長
「私は10年後の話なんかしてませんよ!」


ほとんど笑い話みたいですが、実際に現場では、このレベルの問題で社長が頭を抱えることがあります。社長からすれば、返済計画を具体的に説明したのに、ワケの分からない話で煙に巻かれた、といったところでしょう。


企業再生では、債権回収というものをよく知っている銀行担当者にあたった方がかえって会社は助かる、という一面もあります。ふたを開けてみれば、返せるか、返せないかというシンプルな問題ですから。

posted by yasuda at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 債務者区分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月14日

売上のポイント

今日は売上についてです。

正常先の「売上」については、はっきりとした基準がないようです。基本的に債務者区分で重視されるのは、利益とキャッシュフローです。

今は、中身の伴わない売上増加はほとんど評価されません。

今更ですが、この点をしっかりと認識しておきましょう。

ただし、時々、利益やキャッシュフローが出ていても売上推移を理由に融資を拒絶されることがあります。

売上に問題があるとみなされるケースには
(1)突然、売上が大きく減少した
(2)長期間に渡って売上が下がり続けている
の2つです。

いずれも融資を継続してもらうためには、事業計画の説明が必要です。特に(2)のケースで、売上低下の原因が業種やビジネスモデルの問題(例えば公共工事依存型の建設業など)にある場合は、相当の説得力が必要になります。

この場合、最低限、資料として次の3枚を用意し、出来るだけ論理的に業況に懸念がないことを説明すべきです。

(1)部門別や商品別に売上を集計した年度(月別)推移資料
 ・・・売上減少の原因は?趨勢は?安定しているのはどれ?    
(2)我が社の強み
 ・・・これからどの部門の売上を伸ばせるのか?
(3)5ヵ年損益計画
 ・・・経常利益、キャッシュフローはどうなる?

※売上計画についてはこちらのコラムも参考にしてみてください。
posted by yasuda at 12:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 債務者区分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月08日

債務者区分の境界線「利益」(正常〜要注意)

6月のコラムで書きました通り、金融検査マニュアルに書かれている「債務者区分」を経営目標に取り入れていくことは大いに意味のあることです。

そこで、このブログでも債務者区分について少しずつ書いていこうと思います。

・・・・債務者区分の境界線「利益」(正常先←→要注意先)・・・・・

正常先の条件の1つに「業況が良好である」とあり、業況は損益計算書の売上と利益で判定されます。

今日は、利益について書きます。

<ポイント>

2期連続で赤字を計上しているような場合、債務者区分は正常先ではなく要注意先になります。

利益で重視されるのは経常利益、通称「ケイツネ」です。

●金融検査マニュアルでは、固定資産の処分などによる特別損失の計上で一時的に赤字になった場合(一過性の赤字)は、正常先と判断してもよいとされています。つまり、赤字であっても経常が黒であれば正常先になる可能性があるということです。

その年だけに限って発生した経費(例えば退職金や貸倒損失など)で経常が赤字になっている場合は、そのことを銀行によく説明し、格付けダウンを防ぐべきです。
posted by yasuda at 14:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 債務者区分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする